舞台が始まる前にELEVEN NINES代表の納谷さんから前説があったのだが、今回の舞台は中学校の先生からの誘いで厚別のある中学校の卒業生に向けて書いたものだそうだ。上演時間も1時間ちょっとで短く、登場人物も7人であまり演劇になじみがない人でも見やすい時間だと思った。
だが中身は遠慮はなく本気だった。主人公は片親で卒業間近の中学生。父親は血のつながっていない売れない小説家。明るいが血もつながっておらず自分勝手に見える父にうんざりしていた主人公は、卒業式に父親に出席してほしくなくて嘘の日にちを告げる。父親への不満や自分の未来に希望が見えないともがく重苦しい場面だけではなく、納谷さんらしい笑いが飽きさせずに舞台に目を向けてしまう。
納谷さん演じる強烈な父親にはさすが!の一言だった。学生には今の自分の抱えるもやもやだったりをどう対処するかのヒントになると思った。大人たちでも自分の中高生だったころを思わず思い出して重ねてしまうと思う。私は自分の中学生の時を思い出してじたばたしたくなった。
今回の舞台は演劇を見たことがないという人の入門としてもとても素晴らしい舞台だと思う。何度も舞台を見たことがあるという玄人でも十分に楽しめるものになっていると思う。
3月8日 サンピアザ劇場
投稿者:洗濯機(20代)
text by 招待企画ゲスト